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【ネタバレあり】『シン・ウルトラマン』初見の感想

映画『シン・ウルトラマン』

【キャスト】 斎藤工 長澤まさみ 有岡大貴 早見あかり 西島秀俊

【スタッフ】 企画・脚本:庵野秀明 監督:樋口真嗣

目次

遂に劇場公開

2016年に大ヒットを記録した『シン・ゴジラ』。この作品で総監督・脚本を務めた庵野秀明と監督・特技監督の樋口真嗣が再びタッグを組んで世に送り出した『シン・ウルトラマン』

当初の公開予定は2021年初夏でしたが、新型コロナウィルス感染症の蔓延に伴う制作の遅れにより約1年公開が延期されてしまいました。

そして2022年5月13日(金)

満を持して遂に『シン・ウルトラマン』が全国の劇場で公開。

筆者は早速初日に劇場へと足を運びました。

1966年にTV放映された『ウルトラマン』の全エピソードに馴染みがある筆者のようなウルトラ世代にとっては大満足の出来映え。

エピソードもさることながら音楽も効果音もきちんとオリジナルを踏襲し、それでいて現代版として成立している。

おそらくはこれから何度も見返す作品になると思いますが、まずは劇場で観た1回目の感想を【ネタバレ満載で】ここに記しておくことにします。

ここが良かった!

大興奮のアバンタイトル

冒頭から『ウルトラQ』の怪獣たちが続々とスクリーンに登場。

この映画では怪獣ではなく「禍威獣(かいじゅう)」と呼称されますが、これら巨大生物の駆逐作戦を立案する組織「禍威獣特設対策室」通称「禍特対(かとくたい)」がなぜ設立されたのか、そしてどのような禍威獣対策を執ってきたのかが実際に禍威獣の映像を見せながら短い時間で一気に説明されます。

登場禍威獣はゴメス・マンモスフラワー・ぺギラ・ラルゲユウス・カイゲル・パゴスの6体。

このアバンタイトルでは禍威獣たちをCGで新撮しており、怪獣好きの我々世代にとっては思わぬプレゼントをいただいた格好になりました。

また『ウルトラQ』と『ウルトラマン』の世界がリンクしていることを初めて明示した瞬間でもあり、その歴史的場面に立ち会えたことには興奮を禁じ得ません。

この禍威獣たちは個々の登場時間が非常に短いため、ブルーレイなどの映像ソフトが発売された折には購入して一時停止しながらじっくり見てみたい。そんな気持ちにさせられました。

マニア向けのサービス

そのアバンでどう見てもゴーガであるはずの禍威獣がカイゲルと呼ばれているのは、『ウルトラQ』第24話「ゴーガの像」の元になったNG脚本で怪獣の名前がカイゲルであったことが理由のようです。

このように『シン・ウルトラマン』にはマニアでなければわからない、言い換えればマニアだからこそニンマリしてしまう小ネタがあちこちに仕込まれています。

『ウルトラQ』『ウルトラマン』に登場したパゴス・ネロンガ・ガボラの着ぐるみはいずれも東宝映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』に登場したバラゴンを改造したものであり、『シン・ウルトラマン』でもこれら3体はCGデータを共有して作られています。

映画の中ではこの3体について「進化系」「亜種」「首から上はアタッチメント」などの言葉を使って胴体部分は同じであることを示唆しており、ウルトラシリーズの実際の撮影で3体の着ぐるみが全てバラゴンの胴体を共有していたことを我々に想起させます。

またウルトラマンファンの間では周知の事実ですが初代『ウルトラマン』でのマスクは撮影が進むにつれてタイプA・タイプB・タイプCと変遷しており『シン・ウルトラマン』でも最初にウルトラマンが地球に飛来した時はちゃんと初期のタイプAになっていました。そして神永と融合した後、姿を現したときはタイプB。もしかするとどこかでタイプCにも変わっていたのかもしれませんが初見では確認できず。そしてマスクが変わった理由について『ウルトラマン』の劇中で一切語られなかったように『シン・ウルトラマン』でも説明はなし。

まだまだ挙げて行けばキリがないですし、見落としている小ネタもあるでしょう。

それらはまるで庵野秀明氏が「お前らこういうの好きなんだろ?」と微笑みながら提供しているようでもあり、そして我々は「はい、お好きです。」と全面的に賛同して受け入れざるを得ない。それほどまでに観る側にとっては幸せな時間でありました。

驚愕のラスボス設定

『シン・ウルトラマン』公開前からゼットンの登場はファンの間で既成事実のように語られていましたが、その予想通りラスボスとしてゼットンが登場。

しかし『ウルトラマン』でゼットン星人よる地球侵略の手先だった宇宙恐竜ゼットンは、『シン・ウルトラマン』では地球殲滅のためにゾーフィが送り込んだ生体兵器という設定になっています。

ゾーフィとは『ウルトラマン』でウルトラマンの救命にやってきたあのゾフィです。

ウルトラマンシリーズにおいてウルトラ6兄弟の長兄として宇宙警備隊隊長を務めているゾフィがまさかの悪役として降臨。

しかし実はこれ『ウルトラマン』放映当時の児童誌に掲載された「宇宙人ゾーフィは宇宙恐竜ゼットンを操って大暴れをする」という誤情報が元ネタ。

当時はもちろんネット情報など皆無。情報の伝達を口述や手書きのメモに頼っていた時代ならではの盛大な誤報でした。

そのウソ情報を映画の中で事実として描いてしまった庵野氏の所謂遊び心には脱帽。しかもストーリー的にも破綻がなく説得力がある。

ここは「よくこんなこと思いついたなぁ」と心底感服した部分でもありました。

ちょっとここが残念…

この作品に唯一難癖を付けるとすればCGのクォリティでしょうか。

近年のウルトラマンシリーズ映像化作品全般に言えることなのですが、格闘シーンを見ているとどうしてもゲーム映像に見えてしまいます。

具体的なゲームタイトルを言うと「ウルトラマン Fighting Evolution」のような映像。スクリーンで見ると些かチープに見えるシーンが散見されます。

CGに費やす時間が足りなかったのか、それとも作り手の狙いでやっているのかは不明ですが個人的にはもうちょっとリアリティがあれば、という感じ。ここだけは少々残念でした。

続編はあるのか?

筆者所有の「シン・ウルトラマン デザインワークス」

現在『シン・ウルトラマン』の公開劇場でのみ販売されている「シン・ウルトラマン デザインワークス」には禍威獣や外星人などのデザイン検討資料に加え庵野秀明氏のインタビューや企画案などの貴重な資料も掲載されています。

この書籍に載っている庵野氏の企画案(2018年1月作成)によると、『シン・ウルトラマン』は円谷プロ劇場3部作の第1作目であるとのこと。

第2作目は『続シン・ウルトラマン』、第3作目は『シン・ウルトラセブン』(!)と明記されています。

注目すべきは『続シン・ウルトラマン』のスタッフとして庵野氏が企画・脚本だけでなく自ら監督を務める予定になっていること。

『続シン・ウルトラマン』とは、もちろん『帰ってきたウルトラマン』を指すものと思われ、庵野氏が大阪芸術大学在学中に監督・主演した『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発信命令』という自主制作映画作品との因縁が伺えます。

続編については庵野氏が一番作りたいものらしいのですが怪獣攻撃隊の存在がマストであるため製作費が嵩み、果たして興行収入と釣り合いの取れる費用で収まるのかがひとつのポイントであるとのこと。

まずは『シン・ウルトラマン』が抜群の興行成績を収めれば、製作費が高騰する見込みがあったとしても続編に向けての機運は一気に高まることでしょう。

公開から週末3日間の興行成績は『シン・ゴジラ』を上回ったと言われる『シン・ウルトラマン』。

何とか大ヒットを飛ばして、是非とも第2・第3の続編をまた我々に届けて欲しいものです。

 

 

 

 

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